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ラッセル・アカデミー Vol.12

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運用巧者の投資手法

Vol. 13

 

質問:

運用のプロはどのようにしてお金を殖やしているのでしょうか、お金を殖やす鉄則はあるのでしょうか。

回答:

運用のプロに代表されるような運用巧者の投資手法は

 1. 勝てないところでは勝負しない
 2. 常に冷静でいる
 3. 一旦決めたら辛抱強く待つ

と言えると思われます。

 

勝てないところで勝負しない

もちろん勝てるところがあらかじめ分かっていれば、誰だって投資で大儲けできます。ひょっとしてあなたは、儲かっている人は、次に何が儲かりそうかを目ざとく見つけて機敏に乗り換えていく、そんなイメージを抱いていないでしょうか。しかし、残念ながらそのような手法で成功している人はほとんど皆無というのが現実です。ここで言いたいことは、そういうことではありません。

図1は世界の先進国の株式市場の値動きを表した代表的な指標である、MSCI World(配当込み、ドルベース)の2007年の推移を示したものです。赤い丸で示したところで、タイミングよく売買を繰り返したくなる衝動に駆られますが、これが「勝てないところで勝負する」ことです。
 

(図1)2007年のMSCI World(配当込み、ドル・ベース)の推移

 

年初の新聞・雑誌などで、著名なアナリストやストラテジストが年末の日経平均株価の水準などを予想する、という記事をよく目にします。年末にそれぞれの予想が当たったか外れたかを検証してみると、当てた人は決して多くありません。また、その年に予想を当てた人も、その翌年となると外していることが多いようです。 これは、プロであっても投資タイミングを見極めるのは難しいということを示しています。

図2をご覧下さい。1984年からの20年間で、米国の株式市場全体は年12%強の収益率がありました。真ん中のグラフは個人投資家が得た収益率です。欲や恐怖心から売買を繰り返してしまった結果、同じ期間の収益率は3%にも届きませんでした。
 

(図2)タイミング戦略の投資効果
運用実績の比較
(年率収益、米国株式市場1984年から20年間)


                                                                                             ダルバー社調べを元にグラフはラッセルが作成

 

タイミングを計った投資の収益率はおよそ-10%だったということになります。そればかりか、同期間のインフレ率にもついて行けなかったという結果が出ています。 つまり、投資タイミングで勝負するというやり方は「勝てないところ」であり、運用巧者は敢えてこういう勝負は挑まないのです。

図3は図1と同じグラフを過去30年に伸ばして示したものです。途中、何度も下落局面はあるものの、30年間を通して見ると、上昇基調で推移したことが分かります。この間の収益率は、実に年12%強になっています。30年間投資し続けていると30倍以上になったことになります。
 

(図3)過去30年間のMSCI World(配当込み、ドル・ベース)の推移

 

これは、単なる偶然でしょうか。12%を超える収益率となったことは偶然かもしれませんが、株式の収益率が、預貯金の収益率より高くなるのは、偶然ではなくむしろ自然なことです。通常、企業は自己資金以外にお金を借りて、事業を営んでいます。もしも、貸付金の利息程度しか収入がなかった場合は、その企業に儲けはありません。事業を継続していくためには、貸付金の利息以上に収益を出さないといけません。したがって、会社の利益率は通常、貸付金利率を上回るのが自然な姿です。もちろん短期的には上回れないこともありますから、株価は上昇・下落を繰り返すわけですが、長期的には預貯金を上回る可能性の方が高くなるわけです。

資産にはそれぞれ潜在的な収益力があり、株式>債券>預貯金の順で高くなる傾向にあります。一方で、収益のブレ幅(リスク)も、株式>債券>預貯金の順で大きくなる傾向があります。運用巧者はこの性質を利用してうまく投資しています。例えば企業年金等の大規模機関投資家の場合、これぐらいの収益は必要だという運用の目標と、どの程度の損失に耐えられるかという許容範囲を前提に、どの資産にどの程度投資するかという資産配分割合を決定し、潜在的な収益力に長期で賭ける手法をとっています。決してこれから上がるだろうからという理由で投資先を決め、売買を繰り返しているわけではないのです。

 

冷静でいるためには?

冷静でいる。「言うは易し」ですが、冷静でいるための第一条件は「余裕資金を投資にまわす」ことです。生活資金までつぎ込んでしまっては、いくら意思が固い人でも冷静ではいられません。資金の性格を十分考慮した上で投資をする必要があります。そして、同じ投資をするにも、冷静でいるためのテクニックというのがあります。一つ目のテクニックは資産の分散です。

図4は1997年末に100万円投資した場合の資産額の推移を示しています。国内株式(青線)に投資していた場合、2年後には150万円近くまで資産が増えますが、その後3年間の下落局面で資産は半分に目減りし、約75万円になってしまいます。一時は150万円近くあったものが、こともあろうに元本割れし、マイナス25万円になってしまいます。ここで、冷静でいられるかどうかが分かれ道です。
 

(図4)資産の分散


 

2002年当時、日本の株式市場では先行き不透明感を報じるニュースが溢れていました。そのような状況下で冷静さを失って売却した投資家は多かったと想像できます。2年後の2004年には元本が回復し、104.4万円になります。ここでやめてしまった投資家も多かったと想像できます。「もう、あんな思いをするのは御免だ。また、いつ下がるか分からないし、儲けがあるうちに売っておこう。」という心理が働くことは想像に難くありません。そして2005年には株式相場は45%と大きく上昇し、151.6万円になりました。結果的には最後まで持っていた人が一番儲かったことになります。しかし、ここで気が付かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、出来上がりの収益率は高くても、リスクが大きいと、途中の過程が「茨の道」になってしまいます。精神的なハードル、落とし穴が仕掛けられてあり、そう易々と最後までたどり着かせてはくれません。

そこで、途中の道を歩き易くする方法として有効なのが分散投資(茶色の線)です。最終的には144万円ですから、国内株式よりはやや低くなるものの、途中の道がずいぶんと歩き易くなっているのがお分かりいただけると思います。冷静でいるためには、値動きの異なる資産を組み合わせることが重要だ、ということです。

二つ目のテクニックは時間の分散です。今ある資金で一度に投資するのではなく、何回かに分けて投資するという方法です。

図5の例は、毎月一定額を投資する方法で、「積立投資」と呼ばれます。投資タイミングは何人にも予測するのが困難です。分からないからタイミングを分散してしまうわけです。
 

(図5)時間の分散


 

この方法ですと、欲や恐怖心に左右されずに一貫した投資が可能です。例え、相場が下落しても、「安く買うチャンスが訪れた」くらいにどんと構えていられるというのが最大のメリットです。 また、毎月一定額を買うわけですから、値段の安いときに多く、値段が高いときに少なく購入することになり、平均購入単価が安くなるという性質があります。これは「ドル・コスト平均法」と呼ばれています。

 
辛抱強く待てるか?

資産のもつ潜在的な収益力に長く投資する方法で、資産を分散し、購入タイミングを分散したら、あとはじっくりと待つのみです。上記の方法を実践していたら、待つことはそれほど苦にならないと思いますが、欲を出してタイミングを取ろうとしたり、儲かりそうな資産に集中投資してしまうと、待つことが難しくなってきます。もしも、辛抱できない状況になったら、一度ご自身の投資手法が、運用巧者の手法と同じかどうかを振り返ってみてください。 皆さんは、給与等の通常受け取る収入以上に投資で大儲けをすることが目的でしょうか。そうでない場合がほとんどだと思います。もともと、投資は手段であり道具だったはずなのに、いつの間にかその道具(相場の値動き)に振り回される、ということが個人投資家にはよくあります。是非、みなさんには運用巧者の投資手法を参考に資産形成をしていただきたいと思います。

以上

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