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なぜ「分散投資」する必要があるの?           Vol. 3

ある特定の資産に集中して投資すると、短期的にはその資産の値動きに大きく影響を受けてしまいますが、複数の資産に分散投資を行うことで、値動きのブレを抑制することができます。
分散投資のポイントは、なるべく異なる値動きの特性をもった資産同士を組み合わせることで、その方が値動きのブレの抑制効果も大きくなります。
適切な資産配分割合は投資家の趣向により大きく異なり、またその計算は困難です。バランス型ファンドへの投資は、いい解決策といえます。

「投資信託を買ってみよう」。ところが、世間では様々な種類の商品が販売されており、どれに投資していいのか判断が難しいものです。例えば、世界中の債券に投資する投資信託と国内株式に投資する投資信託、どちらに投資すればいいのでしょうか?

勿論一番いい方法は、今後高い収益を上げる方に投資することです。それでは、どちらの方が今後上昇するでしょうか?実は、この問いに対する答えは簡単でありません。プロの投資家であれば、これから何が上昇するのか予想できるはず、だったらそれに集中的に投資すればいいのでは、と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし残念なことに、確実に「今後最も高い収益を生み出す投資対象」を事前に予想することは、例えプロの投資家であっても極めて困難なことで(この点につきましては、改めてご説明したいと思います)、今後の相場展開の動きに賭けて一つの投資対象だけに集中して投資する、といった資産運用は余りお勧めできません。

「これから先何が上がるのか良く分からない」ということであれば、いろいろな投資対象に少しずつ分けて投資するという方法が考えられます。これが「分散投資」と言われる手法です。

図1は、主要四資産と言われる、国内株式・国内債券・外国株式・外国債券とこれらを4分の1ずつ組み合わせた「組み合わせ」の過去10年間の収益を、それぞれの年別に収益の高かった順に上 から並べたものです。

(図1)

   (クリックして拡大)

 (データ)国内株式:東証株価指数(配当込み)、外国株式:MSCI KOKUSAI(配当込み)、日本債券:NOMURA-BPI総合指数、外国債券:シティグループ世界国債インデックス(除く日本、円ベース)、組み合わせ:上記4資産を4分の1ずつの配分で組み合わせ。10年平均は、各年のリターンの単純平均。

   運用成果は過去の実績であり、将来の結果を保証するものではありません。また、当資料で表示したシミュレーションは、過去の実績等を加工・分析したものであり、本資料のいかなる記述も将来の投資収益等の示唆あるいは保証をするものではありません。

前ページの図1を見ましても、いつも高い収益を上げられる資産はないようです。それどころか、一つ一つの資産は良い年もあれば、そうでない年もあります。例えば、四つの資産の中でも国内株式は、最も高い収益となった年もあれば、逆に最も冴えない年もあり、その順位は大きく変動しています。外国債券も同様に年によってその順位は大きく変動しています。国内株式か外国債券のどちらに投資すればいいのか、この答えはその時々によって異なり、どちらがいいとも一概には言いにくそうです。

一方、「組み合わせ」は、確かに大勝ちすることはないかもしれませんが、逆に大きく毀損することもなく、結果として10年間を通じて比較的安定した収益を確保していることが分かります。もう少し具体的に見ると、国内株式の場合、一番成績が良かった1999年には1年で約60%も上昇しましたが、翌2000年には-25%と大きく下落しています。一方、「組み合わせ」は、2005年に約20%上昇しましたが、一番成績が悪かった2002年でもマイナス幅は8%にとどまっています。

「分散投資」のポイントは、異なるものを組み合わせること

この点についてもう少し見てみましょう。

図2をご覧ください。AとBという二種類の資産があり、その値動きは全く反対の動きをする(即ち一つが上昇するともう一つは下落)と仮定します。この場合、これら二つの資産を丁度半分ずつの割合で組み合わせると、収益のブレはなくなります。
実際には、図2のように、全く異なる動きをする資産はなかなかありませんが、比較的異なる動きをする資産の例としては、例えば、外国の債券と国内の株式などが考えられます。貴金属や原油、穀物などの「商品」も、株式や債券と比較的異なる動きをする傾向があると言われています。


(図2)
(図3)
*当資料で表示した分析は、一定の仮定に基づくものであり、その結果の確実性を表明するものではありません。

一方で、比較的似たような動きをする二つの資産を組み合わせたとしましょう。収益に影響を及ぼす何らかの外的要因が発生した場合、この二つは同じような動きをするので、どのように組み合わせたとしても、収益の動きは元の資産と同じような値動きとなり、結果的にある程度の収益のブレは残ります。例えば、株価の動きは、国は違っても全体で見ると世界中で同じような方向に同時に動く傾向が見られます。図3に、比較的似たような値動きをする資産Aと資産Bを組み合わせた場合のイメージ図を表示しました。

つまり、複数の投資対象を組み合わせる場合、組み合わせるものの収益のパターンが異なれば異なるほど、組み合わせの効果は大きくなることが分かります。これこそ「分散投資」の秘訣と言えるでしょう。
これを実際の資産運用に当てはめてみましょう。例として、株式と債券を比較してみます。景気が良くなると株価が上昇すると言われますが、これは景気拡大に伴い企業収益が上昇する結果、株主価値が増大することに起因します。一方で、景気が上昇すると、企業を始めとした資金需要の拡大により市場金利が上昇し、債券価格の下落に繋がります。これとは逆に、景気低迷局面においては全く逆の動きが想定されます。つまり、景気変動という一つの経済要因において、株式と債券では全く逆の価格の動きを示す傾向があることから、株式と債券の両方に投資した場合、景気の動きに余り囚われることなく、安定した収益の確保が期待できるのです。

金融機関や年金基金といった機関投資家と言われる資産運用のプロの多くが、実はこうした「分散投資」を行っています。彼らは資産運用のプロではあっても、短期的な市場見通しに過度に依存することなく、様々な資産に分散して投資を行い、収益を獲得しつつも、少しでも市場環境に翻弄されるリスクを回避しようと努めているのです。

「どのように分散投資を行うのか?

分散投資のポイントが少し見えてきました。ところが、いざ分散投資をしようとすると、難しい問題に直面してしまいます。それは、以下の点です。
・ 具体的に何に投資するのか。
・ どれくらいの割合で投資するのか。
株式と債券に分散して投資することの効果は既に申し上げたとおりですが、それ以外には何に投資すればいいのでしょうか。代表的な投資対象としてはよく不動産が挙げられますし、最近ではヘッジファンドといった代替資産と言われるものへの投資も広がっています。また、「株式」と言っても、日本株式もあれば米国株式や発展途上国の株式もあり、その内容は実に様々です。
 

もし投資対象が決まったとしても、それをどのような割合に配分して投資すればいいのか、これは更なる大問題です。単純に等分するのも一つの手でしょうが、これで本当にいいのでしょうか?
これらも大変難しい質問なのですが、回答は恐らく次のようになろうかと思います。
・ 最適な比率を計算するには、その前提となる数字のデータが必要。
・ しかも、最適な比率は投資家の運用目標によって異なる。
ということで、一般の個人投資家が自分だけの力でこれを求めることは、どうも難しそうです。
そこで考え出されたのが、バランス型ファンドの投資信託です。一つの投資信託に投資することで、同時に複数の資産にバランスよく投資できるという優れものなのです。次回は、この「バランス型投信」についてもう少しお話したいと思います。
 

補足:興味をお持ちの方のために、もう少し難しい話を・・・

例えば、株式と債券に半分ずつ投資したとします。ある投資期間における収益(即ち、リターン)は、丁度株式の収益と債券の収益との平均値となります。ところがその間の収益のぶれ、即ち変動性は(投資の世界ではこれをリスクと言います)半分以下になるのです。しかも、組み合わせる2種類の値動きの性格が異なれば異なるほど、リスクはどんどん小さくなるのです。

図4を見てください。縦の軸は収益(リターン)を横の軸は収益のぶれ(リスク)を表しています。Aはリスク・リターンが比較的低い債券を、Bは、リスク・リターンが比較的高い株式をそれぞれ表すものとします。AとBを半分ずつ組み合わせたC(株式と債券の組み合わせ)は、AとBの丁度真ん中の地点よりも真左に寄ります。

そして、グラフの原点(即ち縦軸、横軸共にゼロの地点)から各点まで線を引いたときの傾きが「1リスク当たりのリターン」を表します。Cまでの傾きはA、Bまでの傾きよりも大きくなっています。即ち、株式と債券を組み合わせることによって「1リスク当たりのリターン」が上昇し、株式、債券のいずれか一つに投資する場合と比べて投資効率が上昇していることが見て取れます。これこそが「分散投資」の鍵なのです。


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