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すぐに使わないお金は長期で運用しましょう       Vol. 6

  • 運用を考えておられる理由は何でしょう?『当面使わないお金があるので、今あるお金を増やしたい』、あるいは『将来に備えて今から少しずつお金を貯めていきたい』ということであれば、株式を中心にリスクの高い資産を組み入れてなるべく長い期間運用することをお勧めします。
  • 株式のように、長い目で見れば高い収益が期待できるものの、リスクの高い(収益のぶれが大きい)資産に投資する場合には、運用する期間が短いとその間に元本が割れてしまう可能性もあります。しかし、長い期間運用することによって、結果的に高い収益を獲得できる可能性は高まります。
  • さらに、運用する期間が長ければ長いほど収益の伸びはより大きくなり、有利な運用ができます。

    始めに
    前回は、「安いときに買って、高くなれば売る」といったタイミング戦略がいかに難しいか、というお話でした。市場の動きをピタリと当てることは専門家でも難しいことですし、株式の収益も高いと言われていますが、実はほんの僅かな期間の値上がりに依存しており、その時期を逃すと高い収益を得ることはできません。このことから、運用は長期で考えましょう、とよく言われます。そこで今回は、長期的な視点から資産を増やす「長期投資」がなぜ有効なのか、ということについて詳しく見ていきましょう。

    時間を味方に ①収益のぶれの縮小
    長期投資のメリットはなんでしょう?大きく2つのメリットがあります。図1は、長期投資は第一に収益のぶれを小さくする効果があることを示したものです。

    (図1)投資期間の違いによるバランス型運用の1年当たりの収益率の推移


    *(データ)国内株式:TOPIX、国内債券:Nomura-BPI総合指数、外国株式:MSCI KOKUSAI、外国債券:シティグループ世界国債インデックス(円ヘッジ)を4分の1ずつの配分で組み合わせ。期間は1985年12月から2005年12月。

    3本のグラフは、あるバランス型運用について、それぞれの時点までの過去1年間、5年間、10年間運用した時に1年当たり平均何%の収益をあげていたかを表したものです。例えば、矢印を付けた2000年12月時点であれば、計測期間1年の赤色のグラフは2000年1月からの1年間、計測期間5年の青色は1996年1月から2000年12月までの5年間、黄色は1991年1月からの10年間運用した場合の1年当たりの平均収益率を表しています。

    同じバランス型運用なのに、随分異なる動きをしています。赤色の期間1年のグラフはアップダウンが激しく、運用成績の良い時には1年間(1995年6月からの1年間)でプラスの24.9%を稼いだこともありますが、悪かった時には1年間でマイナス14.1%(1989年9月からの1年間)の損失を被っていて、その差は40%近くもあります。つまり、どこか1年間だけ運用した場合には、どの1年間運用したかによって、良くも悪くも大きな違いが出ることを表しています。一方、青色と黄色のグラフはアップダウンが緩やかになり、収益のぶれは縮小しています。これは、長い間には、良い時と悪い時が相殺されるためです。つまり、1年間といった短い期間で見ると、収益は大幅に上下しますが、5年、10年といったように運用年数を長くしていくと、収益のぶれは徐々に安定してきます。特に、期間10年のトータルで見ると、この例では、いつから運用を始めたとしても、10年間運用すれば、いつでもプラスの収益を獲得できていたことがわかります。

    資産運用は、必ずしも収益を得られるとは限りませんし、損をすることもあるから怖い、という消極的な意見をお持ちの方もいらっしゃると思います。確かに、運用(特に株式などリスクの高い資産を組み入れた運用)により、元本が割れてしまう可能性もあります。ただ、ここで「元本が割れる可能性」といっているのは、半年や1年といった比較的短い期間で判断している場合が多いのではないでしょうか。例えば10年といった長い期間運用することによって、結果的に、しっかり収益を確保できる可能性は高まります。一時的に市場環境が悪くなっても、そこで狼狽しない長期的な視点が資産運用には求められます。


    時間を味方に ②複利効果
    長期投資の第二のメリットは「複利効果」と呼ばれるものです。 元本100万円を利回り5%で運用するとしましょう。どのように資産は増えていくでしょうか? 1年目には、100万円×5%=5万円資産が増えますが、2年目には1年目の収益が元本に組み入れられて増えていきますので、1年目に比べ、(元本100万円+1年目の収益5万円)×5%=5.25万円増えることとなります。3年目も同様に、(元本+1年目の収益+2年目の収益)×5%=5.51万円増えます。

    このように、収益が元本に組み入れられて資産が増えていくことを複利効果と言います。途中で資産を引き出すことなく、運用を続けることでこうした「複利運用」が可能になります。図2は、このように複利で運用した場合の資産残高の推移を示したものです。「運用収益額」の欄をご覧ください。長く運用すればするほど、より大きく資産が増えていくことがわかります。

    (図2)複利効果による資産残高の推移

    図3は、運用年数とともに資産がどう増えるかをグラフで表しています。元本100万円を複利で1年当たり5%の利回りで30年間運用した場合、年数が経過するにつれて、資産は急速に増え、30年後の資産残高は430万円程度になります(青いグラフ)。もし、毎年、運用収益を引き出しながら運用した場合には、30年後の資産残高は250万円にしかなりません(赤いグラフ:こうした運用を「単利運用」と言います)。

    青いグラフと赤いグラフの差は、最初の頃はそれほど大きくないかもしれませんが、時間が経つにつれて拡大します。仮に30歳で運用を開始したとすれば、30年後の定年頃に期待できる受け取り金額が元本の2.5倍になるか4.3倍になるかですから、大きな違いです。

    長く運用すればするほど、複利の威力がメキメキと発揮されるのです。これも長期運用の大きなメリットと言えるでしょう。

    (図3)資産を引き出しながら運用するかどうかの違い


    結び
    今回は、「長期投資のメリット」をテーマに、長い期間運用することによる収益の安定化と複利効果という二つに絞ってお話してきました。特に、リスクの高い資産を組み入れた運用は、短期で見るとその収益が大幅に上下することもありますが、長い眼で見ると、結果的には比較的安定した収益を得ることができます。

    ここで注意していただきたいことは、長期間運用をするということは、そうしたメリットもある反面、短い間にお金が必要になった時にすぐには引き出せない(その時に資産が増えているかどうかは必ずしもわからないため)といったデメリットもあるということです。つまり、長期運用にはすぐに使うお金は向きません。少し先の将来に使うお金を増やすために資産運用をしてみたいと思っている方であれば、「長期投資」という観点から、一時的な市場の変動に振り回されることなく腰を据えて取り組んでみることが大切です。
    次回は投資信託を購入した後の「投信のモニタリング」についてお話ししたいと思います。

    以上

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